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書籍から喪失を学ぶ

喪失に対する考え方や勇気を学んだ本から一部を引用しています。

悲しみを超えて

タイトル 悲しみを超えて---愛する人の死から立ち直るために
著者 キャロル・シュートダッツシャー
経歴グリーフコンサルタント こころの健康や教育の分野の著作がある。シュトーダッシャー自身の両親との死別の経験から、死別の悲しみのプロセスの研究に携わり研究することになった。小説や詩も書いている。
翻訳 福本麻子
出版元 創元社

喪失に対する考え方や勇気を学んだ内容のご紹介

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死別の悲しみ
まず、はじめに理解していただきたいのは、あなたがとらわれている死別の悲しみは、いつまでも動かない不変のものではなく、いつかわ変わってゆくこころのプロセスだということ。
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避けて通っては
ならない
けれども、ただひとつ、すべての人にかならずあてはまることがあります。それは「悲しみは避けて通ってはならない」ということです。これからの人生を有意義に送るためには、悲しみをやりすごすのではなく、悲しみと真正面に向き合い、悲しみのど真ん中を 通り抜けなければなりません。あなたもいつかはきっと、悲しみと真正面に向き合い、悲しみの真っ只中を通って、向こう側へと突き抜けられます。「もとの自分に戻れなくても大丈夫、やっていける」と言える。今までとは違う自分になってまた 新しい一歩を踏み出せるようになります。
Page 15
死を信じ
られない期間
死を信じられない状態がどの程度か、どれくらいの期間続くものかは、他の家族の状態によって大きく違ってきます。残された人のなかには、二年もの間、ときどき発作が起こるように信じられない気持ち浮かび上がってくることがあったと言う人もいます。 長期間にわたってどうしても死が信じられず、受け入れることもできず、完全にその状態にとりつかれてしまうようなら、正常とは言えません。そうなると、あなたに必要な悲嘆のプロセスがそこで止まり、まともな生活に戻れなくなります。 ところで、悲嘆のプロセスをうまく通り抜けるために昔から行われていることの一つが、葬式や追悼会など、亡くなった人にきちんと別れを告げるための最後の儀式です。

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Page 18
儀式の
必要性
さらに葬式は家族や友人みながその人の死を知るという意味で、その人の人生の終わりを公に認める場であり、亡くなった人の人生に関わった人々があらためて集まる場でもあります。こうして葬式や追悼会に集まった人々によって、一時的ではあるものの、 支えあいの輪ができます。
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ぬぐい去れない
罪悪感
あなたの持つ罪悪感がおそろしく深く、どうしても心から消えないとき、あるいは長い罪悪感に苦しめられて、その間何の変化もないと思えるときは、自分で認めているかいないかはともかく、なくなった愛する人についてどこか相反する 感情を持っている可能性があります。これはあなたがこころからその人を愛していなかったとか、深い喪失感を感じていないと言っているのではなく、「愛する人との関係について何らかのネガティブな感情を持っているかも知れない」という意味です。 このネガティブな感情がこころの動きを止めているのです。残された人がフラストレーションや怒りにまかせて、「愛する人が死ねばいいと望んだことがある」と打ち明けるのは珍しいことではありません。そう考えたからと言って、たとえ愛する人に 向かってそう口に出してしまったとしても、そのためにその人が死んだわけではありません。もしあなたが、このような記憶にとらわれて苦しんでいるなら、考えても見て下さい、頭の中で考えただけで誰かを死に追いやれるほどの力を、あなたが持って いるというのでしょうか?どれほど強く願ったとしても、人の死を願うことと、実際にその人を殺すこととは全く別です。願ったからと言って実行したことになりはしないのです。
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感情を
吐き出す
アメリカ以外の文化圏には、亡くなった人を求めたり、思い慕ったりする時間をとるところが沢山あります。このような反応が悲嘆の一部として認められているからです。ですからまず亡くなった人を追い求めることも、思い焦がれることも、あなたの 悲嘆の一部として受け入れ、癒しのプロセスを進めていく重要な本能なのだと理解してください。その上で周りに迷惑をかけずに、感情を吐き出せる場所を見つけてください。数日間、数週間、必要なら数ヶ月間の間、一日のあいだ時間を決め、 だれにも邪魔されない時間を作ってください。そして、準備が整ったら、あなたが抑えてきた気持ちを大きな声で口に出してください。亡くなった愛する人を呼んでもかまいません。そうする自分を許してあげましょう。

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Page 69
食事を
見直す
不安の感情は、食べ物によっても増長されることがあります。食事の精で、こころの緊張や不安を増すのはよくありません。コーヒーや紅茶、カフェイン入りのソフトドリンクなどの刺激物は最小限にとどめてください。食欲不振で、だれかにどうしても 食べろと進められない限り、食べない状態が続くと、低血糖に陥り、そこから疲労感、うつ病、不安を引き起こすことがあります。デザート、ジャム、ゼリー、シロップなどはほどほどにしてください。糖分をとりすぎると、一旦は元気を取り戻しますが、その あとさらに落ち込む恐れがあります。もちろん、アルコールにも注意が必要です。アルコールによって一時的に不安が緩和されても、その後一層不安が強まることになりがちです。飲酒によって何かをごまかしているだけなら、ちゃんとその事を認め、 ごまかしている感情を追求してください。それこそ、あなたが向き合わなければならない感情だからです。
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自分の気持ちを
表現する
残された人の中には「いつまで私はこのことを話たいと思い続けるんだろう?どれ位が正常なんだろう?」と尋ねる人がいます。「ずいぶん長い間、亡くなった人の事を話たいと思うかもしれませんよ」と答えることにしています。どうぞ、気の済むまで、 好きなだけ話してください。もう話したくないと思わない限りは、話を続けてください。必要な時間は人それぞれで、六ヶ月で済むひともいれば、二年以上話すことが必要な人もいます。

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Page 124
幻覚を見たり
聞いたりする
愛する人が亡くなってから最初の一年くらいの間、見えないものの存在を感じたり、その姿を見たり、その人と話をしたりということがあっても、別に気が変になっているわけではありません。残された人は折に触れ、亡くなった人の気配を 体験するのです。これについては実にさまざまな解説がほどこされています。研究者の意見もさまざまで、感覚が呼び戻されることから起こる現象だという人もいれば、幻覚や声は亡くなった人の魂が実際に訪れた証だという人もいます。 ここではなぜこのような体験をするのかを解明するよりも、体験する人にとっては、その幻覚が非常にリアルであるということの方が重要です。このような幻はあなたの苦痛を和らげ、安堵させ、つかのまではあっても孤独から救ってくれます。実際、 残された人の中には、亡くなった愛するひとが終生にわたりときおり自分の前にあらわれたという人さえいます。
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遺品の
整理
遺品の整理については人それぞれで、配偶者の死から数週間もたてば、手をつけられるようになる人もいれば、とてもやれそうにない難しい仕事だと思う人もいます。亡くなった人の衣類や持ち物の整理がのばしのばしになっていても、無理に 手をつける必要はありません。時間をおいてください。箪笥を整理し終わるのに一年掛かってもかまいません。誰もあなたを責めはしません。亡くなった人の衣類や身の回りの品々を手にとれるほど、気力や体力がまだ回復していないのかも知れません。 それらの品をどう処分すればいいのか、誰にもらってもらえばいいかわからないこともあるでしょう。作業にとりかかく覚悟を決めたら、どのような処分方法をとるかあらためて考えてみたほうがいいかも知れません。まず、親しい友人か親類に頼んで、 手伝ってもうらうか、あるいは品物を整理している間、一緒に部屋にいて話相手になってもうらことにします。そして、前もっていくつかの空の箱を用意して、箱ごとに品物の処分方法を明記します。とっておく物、子供や兄弟などに形見分けする物、 そして、公共の機関や民間に寄付する物というように。亡くなった妻や夫の持ち物を他人に使ってほしくないと思うこともあるでしょう。そういう場合は捨ててしまうか、しまっておけばいいのです。考えてもごらんなさい、亡くなった配偶者の持ち物をそのままに しておいても、誰も困りはしないし、何の損もありません。たいていは整理する気力や体力が回復すれば、手をつけられます。けれども、いつまでたってもその作業に取り組めないような気がする場合は、あなたの子供や亡くなった配偶者の兄弟、あるいは 親しい友人に頼んで代わりにやってもうのが一番いいでしょう。
Page 128
自分一人で
問題を解決する
配偶者を失ってからのもっとも努力を要する課題の一つは、愛する人のアドバイスや意見や知識に頼らずに、自分一人で物事を決めなければならないということです。何かを決めて気に入らない結果が出ても、一人でそれに耐え、その為に生じた 苦悩、恐怖、罪悪感、あるいは混乱を受け止めなければなりません。配偶者が亡くなってからの始めの一年間は、客観的に合理的に物事をとらえる能力が、損なわれていると自覚しておく必要があります。 ですからこの時期に、大切なことを決めてはなりません。家を売ったり、会社を辞めたり、子供を別の学校に入れたり、これからずっと一緒に暮らすつもりで新しい人を家庭に入れたりするのはやめておきましょう。経済状態が変わるなど、 避けがたい重大な環境の変化のために、やむおえず引っ越さなければならないとしても、できるだけ穏やかに事が運べるよう、力を貸してくれそうな客観的で見識ある親類や友人にアドバイスを求めてください。

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Page 140
薬と悲しみ
気を鎮めたり、悲しみを抑えたり、痛みを和らげるために、精神安定剤や処方薬を飲みつづけていると、自分の気持ちを自然に吐き出す機会を失ってしまう恐れがあります。悲嘆の中にいられるときによく見られる症状の一つに不眠症が ありますが、不眠症に陥って、睡眠薬に頼ってきた人もいるでしょう。重要なのは、薬が作用しているところでは、身体は自然に機能していないということです。ですから、使い方に注意して、依存症にならないよう気をつけてください。まずは 薬に頼らずに、身体が正常に機能できるようにすることが目標です。
Page 148
前を
向きましょう
悲嘆のプロセスを通り抜けた時、それと解る明確なポイントがあるわけではありません。「夫や妻を失った悲しみから立ち直れた」と言い切れるようなはっきりとした転機もありません。そうではなく、だんだんと体力が回復する、 今までの古い役割を捨てて、新しい役割が回復する、周りの人間関係が今のあなたのニーズを満たしあなたの興味に一致してくる。身の回りの環境が改善されるというように、ポジティブなステップがだんだんと重なって、生きる道が 豊かに広がっていくのです。このステップはほとんど見分けがつかないほどゆっくりと進んでいくかもしれないし、逆に愛する人を亡くしてからすぐに重大な変化が起こるかもしれません。では、人はどのように癒されていくのでしょう。 夜ぐっすりと眠れる、亡くなった人のことをわりに楽に取り乱さず話せる、つらい記憶や映像に悩まされずに、普通に活動に関われる、一人で課題をこなせる、自分の外見に気を配れる、他の人に助けの手を差し伸べる、そして 怖がらずに笑える、こうしたことが一つ一つできるようになるごとに、あなたは自分が少しづつ癒されていると確信します。そして今日一日、今週一週間を何とか切り抜けるのに精一杯だったあなたが、これからの人生を自分の力で 変えて行ける自分の未来としてとらえる事できるようになり、その中で喜びを感じ、自分をほめられるようになったとき、あなたは本当に癒されたといえるのです。

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訳者あとがき
一部のみ紹介
私は日本で最初の読者としてこの本に出会い、気持ちがとても楽になった。むろん、本一冊読んだからといって、悲しみが癒える訳でもないし、乗り越えられる訳でもない。ただ迷い込んだ迷路に光が差し込んでくるような気がする。 苦しい気持ちが整理され、また自分を信じて歩き出そうという気になるのである。だから、今、悲しみにとらわれて動けなくなっている人に、ぜひこの本を読んでほしいと思う。そして著者ともども、この本が小さな支えの手になれば、一人でも 多くの残された人のお役に立てれば、と願っている。
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